St. Louis Roll セントルイス・ロール

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普通の高校生だった筆者が徐々に確実にアメリカナイズされていった、米国での大学生活の思い出と現在。これまでとこれから。

留学生あるある「日本語を忘れた」に関して、在米4年目の視点から見た考察

〇〇あるある、って面白いですよね👀

“うんうん、確かにその通り!”って共感できたり、“自分がそれに当てはまってる!”って納得したりできるから面白いのだと思います。

 

さて、留学生・留学帰り・帰国子女あるあるとしてよく取り上げられるものに、タイトルにもある

「日本語を忘れた」「日本語では何て言うんだっけ?」「英語(または滞在していた国の言語)でなら分かるんだけど、日本語が出てこない」

などの発言があります。(海外かぶれあるあるとして、揶揄されることもありますね😶)

 

帰国子女(外国での滞在を経て日本に帰国した学齢期ーー小学校1年から中学3年までーーのこども)はともかく、

日本で生まれ育ってずっと日本語を使って生活してきたのに、たった数週間・数ヶ月または数年外国で過ごしたくらいで母語を忘れるものなのか?

という疑問の声をよく耳にします。

 

確かにその通り。外国で過ごした期間よりも日本で生活してきた期間の方がずっと長いのだから、ちょっとやそっと使わなかったくらいでは忘れようがないのでは?そもそも、どうやったら母語を忘れられるのか?

筋が通っていると思います。

 

それでも、結論から言うと、(あくまでも個人的な考察ですが)

違う言語を主要言語として使ってしばらくの間生活していると、母語である日本語を忘れてしまうこともあります。

 

日本語を完全に忘れてしまい、一切の知識が忘却のかなた…ということではもちろんなくて、もっと正確に言うと、思い出すのに時間がかかっているだけなのです。

普通なら意識せずとも分かる日本語の単語を意識的に認識するために2,3秒かかったり、普通の人が3秒くらいでいくつかの言葉を紡ぐところを言葉があっているか一瞬考えてから発するために数秒余計に必要としたり

ただ少しスピードが劣るようになってしまうだけで、留学・海外滞在経験によって本来持っていた日本語能力は衰えはしません (…とわたしは思います、あくまでも個人的意見ですが)。

 

ではなぜ、日本語が自然とスムーズに出てくるかわりに思い出す必要が出てくるのでしょうか?

影響を及ぼす要因はいくつかあるとわたしは考えています。

  • 日常的に英語(またはその他の外国語、以下同じ)を話すうちに、思考言語が英語になること
  • 英語と日本語の文法や文章構造が大きく異なること
  • 日本語にあるけれど英語には存在しない、またはその逆にあたる単語や言い回しがたくさんあること
  • 語彙が増えるたびに “英語の単語+日本語での意味” のセットではなく “単語+その定義(英語)” で覚えること。例えるなら英和辞典ではなく英英辞典を使っているようなもので、overwhelm = 圧倒する、閉口させる ではなく overwhelm = to cause someone feel sudden strong emotion の方で記憶しているということです。

 

ざっと思いつくのは以上ですが、他にもまだまだあるかもしれません。

まず一つ目に関して、これは二つ目に挙げた文法の違いも関わってくるのですが、外国語を話す時に頭の中が日本語のままだと、ひとつひとつ訳しながら話さなくてはならないので時間がかかります。加えて、日本語から英語に一語ずつ翻訳するとスムーズで綺麗な文章を作るのが難しくなります。

そうして頭の中の言語を日本語→英語などの滞在先の言語へと変えることを余儀なくされた留学生たちは、次第にそれに慣れていきます。一度それが当たり前になると、今度は日本語を話すときにわざわざ思考言語を英語→日本語に切り替えるという必要が出てくるのです。

 

その切り替えがスムーズにいかなかったとき、間違ってはいないけれどどこかネイティブらしさに欠けるような少し違和感のある文章ーーわたしはこれを精度の高いGoogle翻訳と呼んでいますーーになってしまうのです。一時帰国した際に家族や友人と話していて、言葉のチョイスが普通と変わっていると言われたことが何度かあります。正しい日本語ではあるものの、一般的にはあまり使わないような言葉を使っている…らしいです。確かに自覚はしていて、正しくキレイな日本語を話したいというプレッシャーからなのか、いわゆる堅い言葉を選びがちなのです😶

ブログを書くときは細心の注意を払っているのですが、もしかすると読者の方の中には "精度の高いGoogle翻訳の片鱗を見た方もいらっしゃるかもしれませんね👀笑 (余談ですが、記事を書くときは頭の中は日本語で考えています。けれど時々頭の中がごちゃ混ぜになって、何度も口に出して確認しながら書かなくてはならないときもあります😅)

 

三つ目の日本語にあって英語にはない又はその逆の言葉、特に後者がやっかいです。日常で頻繁に使う便利な表現、でも日本語にはそれと厳密に対応しているしっくりくる言葉がない…なんて時に思わず「日本語が出てこない」などと言ってしまうのかもしれません。

例えば “make sense (= to have a clear meaning: to be reasonable)” 、日本語に訳すと意味を成す・道理にかなっている・筋が通っているなどになります。イギリスではあまり使われないようなのですが、アメリカ英語ではとても頻繁に使われる気がします。

例えば何かを説明しているとき、Does it make sense to you? でちゃんと伝わってる?わたしの言ってる意味分かる?という確認だったり

何かが理解できなかったり納得できないときに It doesn’t make sense = おかしい、意味が分からないだったり

確かに、なるほどという風に納得と同調を示す時に That makes sense と言ったり、カジュアルにしょっちゅう使われるフレーズですが日本語で一語でぴたりと言い換えられるものは無いように思います。

特に否定系で使うことがわたしは多いのですが、日本語で使いたいシチュエーションが出てきた時どう言ったら良いかいつも考えあぐねてしまいます🤔 それってちょっとおかしいよねだとぼんやり抽象的な気がするし、筋が通っていないとか道理にかなっていないと言うのはなんだか堅すぎる気もするし… この表現を知る前はどう言っていたかなんて忘れてしまいました。

こんな風に汎用性が高くて便利な言葉は、一度使うことを覚えてしまうとそれを知らなかった頃にもう戻れません😅 それらは別に日本語に訳すことが不可能なわけではないですが、状況によって使い分ける必要があって完全一致する単語が見つからないのとニュアンスがちょっぴり違った感じがするので、ここでは日本語にはないという風に記述しました。

 

そして四つ目の英単語を英語で覚えている、これは主に難しめの単語に限定されるかと思います。一つ目の要因でも述べた通り思考言語が英語になっているので、生活をしていくうえで新しい言葉を覚えたとき、多くは会話の中で自然発生するものなので、日本語の対応する訳を調べることをしません。その結果、言葉の定義は説明できるのに(三つ目に挙げた要因とは対照的に、ぴったり対応する単語が日本語に存在していても)言い換えられない、という事態に陥ったりします。どうしてそう言い切れるかってそれは、何を隠そう実体験だからです…😹

わたしは特に専門用語がこのケースにあたります。ファイナンスや会計用語など、大学の授業で出てきた言葉は日本語でも元々知らないものばかりだったので、定義を説明はできるものの日本語でなんというか分からないものばかりです。例えば棚卸し資産 (inventory)や利益余剰金 (retained earnings) は会計学におけるごく基礎的な言葉ですが、たった今こうして調べるまで日本語での呼称は知りませんでした😶 きちんと勉強しなくてはいけません…

 

また上記の例とは異なりますが、 “この意味を持つ言葉ってなんだっけ?” とかなりの長時間の思い出そうとする努力+最終兵器インターネット検索を要した単語を以下にご紹介します。

和解。恩着せがましい。理屈っぽい。義理。

 

例えば「和解」、このときは “裁判 案” で検索しました。「恩着せがましい」が思い出せなかったときは確かインターネットでも上手く探せず、母に電話して “感謝を強要することを何て言うんだっけ?” と聞いたような気がします。「義理」に関してはどう頑張っても思い出せなくて、諦めたのち2.3日経って突然思い出しました。

これら全ては実は最近のことで、 “英語なら分かるのに…” とかではなくてただただ日本語の単語をど忘れしてしまったのですが、それまで一切身に起こったことのない事態だったので少しショッキングでした😦

 

…というわけで随分長々と語ってしまいましたが、もちろんこれら全てには個人差があると思います。1週間日本を離れていたら日本語があやふやになる人もいれば、10年間海外で生活をしても日本語と他の言語がごちゃ混ぜにならない人もいるでしょう。

ここまでの考察は、今年アメリカ在住4年目になるわたしの個人的な見解をもとに展開してきました。これを読んでおられる方の中に留学など海外に長く滞在したことのある方がいらっしゃれば、共感していただけていたら嬉しいです😊 それに当てはまらない方にとっては、耳にしたことがあるかもしれない留学生の「日本語忘れた」に対する良い弁明になっていれば、と思います🤔 わざとでもかぶれでもなくて、頭の切り替えが追いつかないとそうなってしまうこともあるということを。

 

なんて、結局は自分のためにこう言っているのかもしれません😂笑  

何年外国で生活したとしてもずっと正しく綺麗な日本語が話せる人でありたいので、精進しようと思います。これからも末永く、このブログそれからわたしもお付き合いいただけたら嬉しいです🥰✨

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文章だけでは彩りがなくて寂しいと母からコメントをもらったので、ミシガン湖沿いで撮った春らしい写真を最後に。それでは。

 

 

🌹本日も読んで下さり、ありがとうございます🌹

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